留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト/日本)

日本人唯一のUCIワールドツアーレーサー
世界最高峰での経験を宇都宮での走りに生かす
日本人唯一のUCIワールドチーム所属ライダー。2シーズンにわたってトップチームで研鑽を積み、その力を宇都宮で披露する。今季は絶好調でシーズンインしツアー・ダウンアンダーでインパクトを残したが、その後のレースで落車負傷。約2カ月戦線を離脱したがひと夏越えて復調傾向。ロード世界選手権の日本代表として世界の舞台も経験した。昨年はアシストを務めながら自身も24位フィニッシュ。今年はハマれば上位進出も夢ではない。
アフォンソ・エウラリオ(バーレーン・ヴィクトリアス/ポルトガル)

すい星のごとく現れたイベリアンクライマー
世界選手権9位がフロックでないことを証明する
強豪国のひとつ、ポルトガルからすい星のごとく現れたヤングクライマー。特筆すべきはロード世界選手権での走りだ。「史上最も難しいコース」とも称され獲得標高5000m超のルワンダ・キガリのコースに適応。最後まで上位争いに加わって、9位でフィニッシュした。昨年までは自国の小さなコンチネンタルチームで走り、今季から現チーム入り。無名に近い存在だったが、その名は世界に轟きつつある。初のビッグレース勝利が宇都宮になる可能性は大。
マティアス・ヴァチェク(リドル・トレック/チェコ)

ジロ・デ・イタリアでの活躍は大きなインパクト
コースに合わせる器用さも武器に
レースを追っている方なら、彼の今季の活躍は認識済みだろう。大きなインパクトは、ジロ・デ・イタリア。大会前半はヤングライダー賞の首位を走り、それでいてエースのアシストにも従事。188cmの大きな体躯が長時間にわたりプロトンを牽引し、ときにライバルをも苦しめた。上りにも強く、夏には起伏の多いツール・ド・ワロニーで個人総合2位。宇都宮ではロードレースで優勝候補に挙がるとともに、クリテリウムでの牽引役としても注目したい。
フェリックス・エンゲルハルト(チーム・ジェイコ・アルウラー/ドイツ)

2023年大会では2位入賞
人数を絞り込んで小集団での勝負になれば勝機
プロ1年目で臨んだ2023年大会で2位。序盤から優勝候補選手たちが攻撃に出た激しいレース展開に加わり、最後まで優勝争いを演じた。日本のファンにも顔と名前が知られる存在となったが、3年連続来日となる今回は勝ってさらに株を上げたい。今季は1週間程度のステージレースでの活躍が目立っており、山岳ステージで総合順位を上げる走りが光る。宇都宮でも、終盤にかけて人数を絞り込み、小集団スプリントに持ち込んで勝機を高めたい。
新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ/日本)

実力・実績ともに宇都宮ジャパンカップの顔
若手ライダーを盛り立てる献身的な姿にも注目
日本が誇るワールドクラスのライダーであり、宇都宮ジャパンカップの顔でもある。14回目の出場となる今回は、今季加入のイタリアベースのチームのキャプテンとして日本に戻ってくる。2015年大会では3位となるなど、鮮烈な印象を残す走りを見せてきたが、大ベテランの域に達し若い選手たちを盛り立てる役目も率先して担っている。チームメートの勝利を幾度となく演出しており、宇都宮でも自身はもとより、チームへの献身的な姿が見られるはずだ。
橋川丈(愛三工業レーシングチーム/日本)

次世代の日本を背負うヤングクライマー
本場仕込みの走りの真価を宇都宮で発揮する
自転車王国ベルギーで育ち、本場仕込みの走りはベースを日本に移してさらに輝きを増している。シーズン前半に国内外のレースで手ごたえをつかむと、5月のツール・ド・熊野では中堅ライダーやベテランを相手に堂々と立ち回って個人総合10位。全日本選手権ではU23部門でロード2位、個人TT優勝。「若手の登竜門」ツール・ド・ラヴニールや、ロード世界選手権では日本を背負って走った。3回目となる宇都宮ジャパンカップでも上位進出を狙う。
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ロードレース:コースプレビュー
“世界”が本気になる古賀志林道の上り
ワールドスタンダードの戦いが宇都宮で繰り広げられる
いつだって、そこには真剣勝負がある。
日本が世界に誇るビッグレース、宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース。32回目の開催となる今回も、宇都宮は世界を本気にさせる。
その原点には、1990年9月に開催されたロード世界選手権がある。アジアで初めて開催されたのが宇都宮であり、そのときの激戦と熱気、レガシーを継承するべく「宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」へと進化を遂げた。
10月開催とあり、シーズン最終盤の重要レースとして位置づける選手やチームが多数。そのバリューは日本で唯一、ワールドツアーに次ぐカテゴリー「プロシリーズ」にUCI(国際自転車競技連合)が公認するアジア最高位のワンデーレースであるのだ。

その舞台となるのは、宇都宮森林公園を基点とする周回コース。1周10.3kmのコースを14周回・144.2kmでレースが繰り広げられる。大きなポイントは、周回前半で上る古賀志林道のつづら折り。これぞ宇都宮ジャパンカップと言える名物区間であり、世界の名だたるライダーたちが華麗に、ときには苦しさに顔をゆがめながら、急坂を駆け上がっていく。斜度10%を超える急坂部も複数潜んでいて、レースの流れを決定づける場としては十二分。観客が最も多く集まる観戦ポイントでもある。
近年はレース前半から古賀志林道の上りを使ったノーガードの打ち合いが見られており、早い段階から勝負に絡む人数が絞り込まれる可能性がはらんでいる。また、3・6・9・12周目に設定される山岳賞をめがけてのアタックも見逃せない。


古賀志林道の頂上(KOMポイント)を越えると、テクニカルなダウンヒルを経て、平坦区間と緩やかな上り基調を走って宇都宮市森林公園へと戻ってくる。周回を経るごとにプロトンに残る人数が絞り込まれるサバイバルレース。その日の天候や気温でも、状勢は大きく変動する。
例年はUCIワールドチームを中心とした主導権争いとなり、レース後半に各チームのエースクラスが勝負に出る流れ。優勝をかけた駆け引きが始まる終盤には、トップを走るのは数人になっていることが予想される。ただ、日本チーム・選手にだってチャンスはある。ワールドクラスのレース展開の中で粘り強く走れれば、“ジャイアントキリング”だって夢ではない。
日本でワールドスタンダードのレースを楽しめる数少ない機会。世界からの目が注がれる宇都宮で、決定的な瞬間を目撃しよう。
