「スプリントになると確信した」黒枝咲哉がオープン男子を制する

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オープン男子は史上2人目の高校生チャンピオンが誕生。昨年優勝した黒枝士揮(鹿屋体育大学)の弟、高校3年生の黒枝咲哉(大分県立日出暘谷高校)がただ一人違うスピードで圧倒。兄弟での連覇を達成。

オープン男子のスタートオープン男子のスタート photo:Hideaki.TakagiJCF登録者男子のジャパンカップオープンレース男子が10月19日(土)、栃木県宇都宮市森林公園周辺周回コースで行われた。コースはジャパンカップの周回を6周する80.8km、最終周回はジャパンカップと同じく一部ショートカットする。今年のエントリーは225名だが、「チャンピオンは一人」と昨年のように2組には分けず一斉スタートに。

鶴カントリーの登りをこなす集団鶴カントリーの登りをこなす集団 photo:Hideaki.Takagiスタート後の古賀志林道から仕掛けるものの決定的な逃げにはならない。常に数人が逃げるが1周ほどで吸収される展開に。逃げるのは鹿屋体育大学、前園浩平(立命館大学)、ジュリアン・メゴー(プジョー・ニールプライド・ラカッセ・プロ)、山本隼(中央大学)、木村圭佑(京都産業大学)、橋詰丈(昭和第一学園高校)、大村寛(プジョー・ニールプライド・ラカッセ・プロ)、岩井航太(立教大学)ら。

木村圭佑(京都産業大学)、橋詰丈(昭和第一学園高)、大村寛(プジョー・ニールプライド・ラカッセ・プロ)が先行する木村圭佑(京都産業大学)、橋詰丈(昭和第一学園高)、大村寛(プジョー・ニールプライド・ラカッセ・プロ)が先行する photo:Hideaki.Takagi最終周回も集団は崩れずゴールへ向かう。ラスト3kmで徳田鍛造(鹿屋体育大学)がアタック、これに小山貴大(前橋育英高校)が合流し先行。しかしメイン集団も追い上げてラスト500mで吸収。そしてラスト200mで米内蒼馬(チーム右京)がスパート、後続に差をつけたがこれを黒枝が追い上げかわし優勝。黒枝のゴール前の伸びはただ一人違うほどの圧倒的なスピード。一昨年の小橋勇利(当時松山工業高校2年)に次ぐ、高校生の覇者だ。

オープン男子ゴール 米内蒼馬(Team UKYO)が先行するオープン男子ゴール 米内蒼馬(Team UKYO)が先行する photo:Hideaki.Takagi優勝した黒枝は高校3年生。昨年優勝した黒枝士揮は実兄で、兄弟で連覇を達成した。今年は6月の地元であった全日本ロードジュニアで優勝、インターハイ4km速度競走で優勝、そして9月には世界選手権ロードへ出場した。兄譲りのスピードが武器だが、厳しい山岳コースの大分全日本ロードで優勝するほどの上れるスプリンター。黒枝は2周目には逃げが決まらずスプリント勝負になるだろうと読んでいた。そしてそれを確信したのはラスト2周。スプリントには絶対の自信を持つ。

オープン男子 黒枝咲哉(大分県立日出暘谷高校)が優勝オープン男子 黒枝咲哉(大分県立日出暘谷高校)が優勝 photo:Hideaki.Takagiいっぽう2位の米内は「ふだんはアシストだが今日は自由に走った。スプリントが苦手なので早めに仕掛けた。この位置(2位)にいるのが信じられないほど。負けたけれども自分でも驚いている」と語るが、選手間ではマークすべき選手として認識されていた。アシスト選手が自分のために走ったレースで2位に入ったことは大きな自信になるだろう。

黒枝咲哉(大分県立日出暘谷高校)のコメント

「先輩方がいっぱいいて自分のレースはできないだろうと思っていました。逃げが決まらなく自分の出番と思ったのでゴールは踏み切りました。残り1周でスプリントになると確信し、157番の人(米内)が強いと聞いていたのでできるだけ近くにいて、その人が出たときに後ろに付きました」

「全日本とはまた違ったレースで楽しかったので満足です。途中で兄が応援していて、今年自分が勝てば連続だと意識はしていました。今回は強い大学生とかもいて自分へのマークが無かったのでやりやすかったです。世界選に出て、世界との距離はまだあるのがわかりました。大学に入って4年間でその距離を縮めたいと思います」と語る黒枝は鹿屋体育大学に合格し、来春から大学で世界を目指す。

text&photo:Hideaki.Takagi