落車の影響で機材トラブルに見舞われながらも古賀志林道の登りをこなし、フィニッシュまで2周を逃げ切って優勝した佐藤光(TeamCyclersSNEL)。オープン男子のレース詳報とチャレンジレースの模様とあわせてレポートします。
オープンレース

宇都宮ジャパンカップ本戦を前に、同じコースを使用して行われるオープン男子のレース。その名の通り、通常であれば年齢別カテゴリーで別のレースを走る高校生や大学生、Jプロツアーのクラブチーム所属選手などが同じ集団で走るレースだ。若手の登竜門としても注目され、西谷泰治(元愛三工業レーシングチーム)や佐野淳哉(元マトリックスパワータグ)ら全日本チャンピオンも過去の勝者に名を連ねる。



7周回72.1kmのレースは、秋晴れの青空の下スタート。序盤はアタック合戦を繰り返しながらも、ゆっくりとしたペースで進行していく。
レースが動き出したのは4周目。コントロールラインに設定された最初のスプリント賞をきっかけに玉城翔太(TeamCyclersSNEL)が単独先行で古賀志林道の山頂を通過。差は一時50秒まで広がるも、ペースを上げた後続集団が5周目の登り区間で差を縮めて玉城を吸収する。

その後、下り切ったあとの県道で佐藤光(TeamCyclersSNEL)がアタック。数名が追従するも、「佐藤1人だけ脚が違った」とライバルが言うように、佐藤が単独先行で残り2周となる6周目に入っていく。後続集団との差は50秒まで開く一方、追走で飛び出す動きも見られたが、佐藤との差は縮まり切らないまま最終周回に入っていく。
「序盤に落車した影響か、フロントギアがアウター固定になってしまっていた」と言う佐藤だが、大きく失速することなく最後の登りをクリア。それでもペースを上げた集団との差は30秒まで縮まり、単独追走する松村拓弥(Japan National Team)が見える距離に迫った。しかし佐藤は最後まで逃げ切り、残り100mで勝利を確信。ガッツポーズと雄叫びと共にフィニッシュラインを超えた。


「阿見寺(俊哉)や高梨(万里王)さんら有力なメンバーが前にいなかったので、集団はチームメイトが抑えてくれると信じてアタックしたけれど、あんなに差が開くとは思ってなかった。平坦で捕まるかと思って内心ヒヤヒヤしながら逃げていた。2周目の下りで落車してしまい、その影響でフロントがアウター固定のまま残り5周を走っていたが、最後の登りは足がつるギリギリまでプッシュした。
夏に体調を崩してまったくレースを走れない状態だったが、昨年優勝した元チームメイトの宇賀隆貴さんより良い内容で勝てて嬉しい。来週は誕生日なので、Jプロツアーの最終戦も勝ちたい。」


チャレンジレース


2周で行われたチャレンジレースは、2周目の古賀志林道を経て6名が先行するも、後続集団が追いついて振り出しに戻る。残り2kmで平直也がアタックすると誰も追わず、そのままフィニッシュまで逃げ切って優勝した。女子は塚本愛佳が優勝した。


オープン男子2025結果
1位 | 佐藤 光(TeamCyclersSNEL) | 1:53'32" |
2位 | 松村 拓弥(Japan National Team) | +0'04" |
3位 | 寺町 悠希(北海道帯広南商業高等学校) | +0'17" |
4位 | 曽根田 仁(TeamUKYO Reve) | |
5位 | 佐野 凌麻(Japan National Team) | |
6位 | 長谷川 大(イナーメ信濃山形) | |
7位 | 阿見寺 俊哉(アヴニールサイクリング山梨) | |
8位 | 瀬川 ジョエル(AOI TRUST OVER RAGE RACING) | |
9位 | 岩間 来空(Team Aniki) | |
10位 | 田中 颯(北桑田高校) |
チャレンジ男子2025結果
1位 | 平 直也 | 33'13" |
2位 | 西川 尚吾(HONDA栃木) | +0'03" |
3位 | 白鳥 興寛(ARCCレーシングチーム) | +0'04" |
4位 | 三橋 隼人(Honda栃木) | +0'10" |
5位 | 日向 隼人(SBC Vertex Racing Team) | |
6位 | 丹羽 潤一郎(METHI) | +0'13" |
7位 | 小林 武(COWGUMMA) | +0'18" |
8位 | 駒井 裕太(スミタエイダイパールイズミラバネロ) | +0'58" |
9位 | 荒川 勇睦(しもつけチャリザル) | +0'59" |
10位 | 斎藤 健(チームWADA) |
チャレンジレース女子2025結果
1位 | 塚本 愛佳 | 38'12" |
2位 | 齋藤 古都美(Team SOLA) | +7'41" |
3位 | 加藤 絵梨香(ブラーゼンサイクリング倶楽部) | +8'40" |
4位 | 早瀨 久美(日本ろう自転車競技協会) | +8'48" |
5位 | 水野 奈緒美(バルバレーシングクラブカナザワ) | +12'30" |
text & photo : Satoru Kato
photo : Makoto AYANO, Yuichiro Hosoda